オーナーさんはS/C化の前提でこのクルマを購入されたようですが、この車両専用のS/Cキットは販売されておりません。
そのため、オーナーさんから「セリカ用S/Cキットを装着してほしい」との相談を持ちかけられました。
スーパーチャージャーはトラスト製のセリカ用S/Cキット。
コンプレッサー・インマニ・プーリー・ベルト・大容量インジェクターにサブコンがセットになっています。
ただし、セリカとアレックスではプーリー類の位置関係や、配管の引き回しが異なるため、現車合わせでの作業となりました。
ちなみに、この「トヨタアレックス RS180(TA-ZZE123H)」は同車種では、唯一の6MT搭載モデル。
エンジンもセリカと同じ2ZZ-GEを搭載しているホットモデルです。
この2ZZ-GEはVVTL-iが採用されており、従来のVVTiで常時バルタイを最適に調整し、高回転域ではカムのリフト量を変化させます。
ホンダのi-VTECと似た仕組みですね。
そのため、従来のVVTiが持っていたリニアなトルク特性+ホンダのVTECのようなパンチの効いた高回転を楽しめるエンジンなんです。
でも、ノーマルだと物足りなく感じる人も多いのも事実。
特に高回転が気持ちイイだけに、とっても勿体ない。
そこでセリカ用S/Cキットをドッキング。
最近のFF車ではお約束のリバースヘッド(前方吸気・後方排気)なので、ターボ化よりも作業は圧倒的に楽でしょうけど、逆に動力源(クランクシャフト)の位置が決められているだけに、融通が利かないのがネック。
事前にセリカとアレックスのエンジンルームを比較してみましたが、どうもオルタネーターの取り付け位置が違うようなので、そのへんの工夫が一番の難関かも。
エアクリ→インテークホース→スロットルボディ→インマニ&サージタンクを外して、取り付け予定のコンプレッサーと交換します。
写真は今回取り付け予定のコンプレッサーで、右下に置いてるのが純正のインマニ&サージタンクです。
ちなみに、トラストのコンプレッサーは、イートン社製のルーツ式コンプレッサー(3葉式)です。
昔のレビンやMR2(AW11)に搭載されていたS/C(繭形2葉式)の発展型で、高回転でも脈動の発生が少なくスムーズに吹けていくのが特徴です。
最近の輸入車で多く採用されてるタイプです。
さて、純正インマニを取っ払ったところで、コンプレッサーを仮付けしてプーリーの位置関係と、補機類の移設位置を検討します。
アレックスとセリカでは、エアコンの配管とオルタネーターの位置が異なっているため、ポン付けは不可能。
コンプレッサー本体の位置変更は構造上無理なので、オルタの搭載位置変更と、エアコンの配管引き回し方法を変更することでつじつまを合わせることにしました。
オルタの位置変更はともかく、エアコンの配管は特殊加工が必要なので電装屋に特注です。
まずはコンプレッサーとオルタを固定して、ラジエターをアルミ2層式の強化品に変更。
ラジエターの厚みが増したため、コンプレッサーとラジエターの隙間におさまるように電動ファンのシュラウドを加工して装着します。
さらに専用のアタッチメントを使ってエンジン本体とオイルクーラーを装着。
オイルクーラー自体はフロントバンパー内部に目立たないように固定しました。
そしてラジエターホースとパイプを新規に作成。
ここ、最終的にはブリーザータンクも装着するので、現時点では仮付けです。
コンプレッサーにスロットルボディを組み付けてインテークパイプを作成。
エアクリはトラストの汎用品を装着。
インジェクターをキット付属の大容量タイプに交換し、加工したエアコンの配管を元に戻します。
最後にブリーザータンクを装着し、クーラントを入れてひたすらクーラントのエア抜き。
クーラントのエア抜きが終わってから、テスト走行へ出かけて各部をチェック。
低いギアの低回転ではちょっとノーマルよりモッサリした感じはありますが、踏み込んでいくとリニアにパワー&トルクが出てきて乗りやすいです。
高いギアでは、低回転から過給がかかり、グイグイと車を引っ張ってくれます。
テスト走行後、各部をチェックして、エンジンカバーを戻しました。
このエンジンカバーもコンプレッサーに若干干渉していたので、ちょっとだけ切除加工しました。
エンジンカバーをつけると純正っぽいしほとんどノーマルにしか見えません。
ノーマルと同等の静かさ&快適さで2ランク上のトルク。かなりオススメできる仕様です!